小学生の時に、児童書の『怪談レストラン』(松谷みよ子編)シリーズを読んでいたことが影響していると思います。このシリーズは、日本や世界の民話を子供向けに再話したものです。絵が可愛くて、好きでした。
後は、中学生の時にプレイしたゲーム「ドラゴンクエスト」(スクウェア・エニックス発売)シリーズや「ファイナルファンタジー」(スクウェア・エニックス発売)シリーズの影響も大きいです。ファンタジー世界を舞台にしたロールプレイングゲーム(RPG)では、西洋のモンスターが多く登場します。日本の妖怪に近い存在です。
高校生の時に、『東方香霖堂』(ZUN著)や『東方鈴奈庵』(ZUN/春河もえ)等、「東方Project」の書籍を読みました。ゲームを原作とする「東方Project」の小説やマンガは蘊蓄があって好きです。日本の妖怪・神様や民話・都市伝説等を元ネタにしたキャラクターが多数登場します。
このように、振り返ってみると、小さい頃から触れていた児童書やゲームの影響は大きかった、と思います。
そして、江戸川大学に入学して、現代社会学科で文化人類学・民俗学に出会います。人によって、専攻分野が異なる学科で学ぶからには、興味のある分野を研究したいと思っていました。だから、文化人類学・民俗学コースで、妖怪文化について探究してみました。
2年生の時に、阿南先生と斗鬼先生の合同文化人類学ゼミ、3年時から阿南先生の民俗学ゼミに所属しています。お二人の先生方からは、文化人類学や民俗学の研究成果や理論だけでなく、様々な影響を受けています。調査法に関しては、文献調査と街歩きによる現地調査の両方を徹底して行う姿勢を学びました。他に、発表スタイルやプレゼンのスライドの作成においても、お二人の講義を折衷したスタイルに自然となっていました。ゼミの先生の影響は大きいです。
文化人類学・民俗学の学びが活動に反映されていることは、言うまでもありませんが、現代社会学科で扱う他の学問の学びも妖怪研究に活かされています。
妖怪・怪談・民話等を使った町おこし・観光である「クリプトツーリズム」を調べる際には観光学の学び、人々を取り囲む風土を踏まえて地域の伝承を調べる際には環境学の学びと結びつきました。
近年は、博物館で妖怪や幽霊をテーマにした展覧会・企画展・特別展が急増しています。妖怪や民俗に関する展示を見学する際に、博物館学の授業を履修していたからこそ、理解が深まったことが多々ありました。
発表をする機会が多かったため、講義課題において、WordやPowerPointで作るプレゼン資料の質が上がりました。文字の大きさやフォントの設定には、こだわって作っています。また、様々な講義のレポートに小ネタを盛り込みました。関連する妖怪話や民話があれば、紹介しながら論じてしまいます。
一番、印象に残っているのは、2017年度の駒木祭において、「博物館学実習Ⅱ」の履修者全員で、「大妖怪漫画展」と題し、妖怪が登場するマンガの歴史を紹介する企画展示を行ったことです。私は、展示全般を監修し、当日は、主に解説を担当し、来館者から多くのお褒めの言葉をいただきました。
他学科履修で学んだ批評理論を使って、妖怪が登場する作品(アニメ・マンガ・小説等)を評論してみたいです。作品を深読みして、聴き手が納得できるような構造を発見できた場合、研究発表のネタに使用するかもしれません。
在学中は、現地調査がしやすい日本の妖怪を主に調査・研究していました。今後は、今まで以上に、世界の妖怪(モンスター、フェアリー、ゴースト、未確認生物(UMA)等)にも目を向けて行きたいです
社会学部 現代社会学科 2019年3月卒業
T.M.さん
株式会社新・オーポレーション
(2019年2月取材)