現代社会学科の学習で一番意欲的に取り組んだのは人類学の勉強です。そもそもこの大学に入りたいと思ったきっかけが、オープンキャンパスで出会った文化人類学の存在でした。入学後は人類学関連の講義を受講したり、自分で興味のある書籍を購入して読んでみたりすることで、人類学に魅力にある種取り憑かれていきました。なかでも、3年時の文化人類学ゼミで出会った『贈与論』に強く惹かれ、卒業論文でも贈与論を扱っています。また、その延長線上で様々な人類学者の体験や知識に触れ、学べたことも意義を感じたものだったと思います。
一番成長したと感じることは「とりあえずやってみる」精神がついたところだと思います。それまでは完璧主義というわけでもないですが、何かをするときには「こうしなければ、ああしなければ」といった固定観念にとらわれていたのですが、初めから100%を目指すよりは、一つ一つを足掛かりにして30%、60%、90%と少しずつ完成度を高めていくほうが良いものが出来ることに気づけたのは大きいと思います。
私は人見知りなので人類学の研究手法の一つであるフィールドワークも、参加する前は苦手意識を持っていたのですが、気づけば幾度かの調査ののち、新潟での花火文化の現地調査をもとに書いた論文で、「研究奨励賞」を受賞することができました。今でも苦手な意識はあるのですが、「とりあえずやってみる」の精神で、前よりもハードルは低くなっていると感じています。
小学校6年生くらいからパソコンには触れていた、いわゆる「デジタルネイティブ世代」だったので、自分でパソコンを組み立てたり、映像編集などの知識を独学で学んだりしていました。もとからそういったことをやっていたので、卒業後の進路にはパソコンに関する業種なども一応視野には入れていました。
現代社会学科のなかで、というのはあまりないのですが、大学の講義のなかにITパスポートの勉強ができるものがあり、それを受講したのが一つのきっかけとなっていると思います。
就職活動は自身のアイデンティティとまっすぐ向き合うことになる機会でもあるので、人によってはかなり苦しい思いをするものだと思います。私は楽観主義というわけではないですが、就職活動をするにあたって「就職しなければ」というような強迫観念には襲われませんでした。というのは、私の学んできた人類学が、(いろいろな知識体系のあれこれを無視して簡単にいってしまえば)既存の境界を飛び越えさせ、それが一つの強みになったからです。人類学に限らずそうですが、心配性の私がこういった心境に至ったのは本という隠れ家を見つけていたからだと思います。今目の前に広がっている世界だけではなく、言葉や我々が常識と呼ぶものさえ通じないこの星のどこか、その場所の営みを知ることによって、視野狭窄になることがなかったのだと思います。
いまや技術革新というのは日進月歩の様相を呈しています。そのため、一度勉強して身につけたものもしばらくするとすでに使えなくなっているということが、これからの時代は多々あると思います。人類学の勉強をしているときに身をつけた、「とりあえずやってみる」の精神に加え、知識体系を追いかける姿勢でもって、システムエンジニアとして成長できればと思っています。
まずは、システムエンジニアの登竜門である、「基本情報技術者試験」に合格することが第一目標です。そこからは、一システムエンジニアとして自立できるようになることです。もとから「モノをつくること」は好きなので、いずれは自分で必要だと思ったものを自分でつくれるようになりたいです。
社会学部 現代社会学科 4年
S.T.さん
(株)ライターム内定
(2021年1月取材)