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2025.03.24

人間心理学科・長峯聖人講師らの共著論文が『Current Research in Ecological and Social Psychology』に掲載

社会学部人間心理学科の長峯聖人講師(専門分野:社会心理学)らの共著論文「Effects of start vs. end temporal landmarks on self-dissimilarity and goal motivation」が、ScienceDirectが発行する『Current Research in Ecological and Social Psychology』(第8巻)に掲載されました。

本論文では、時間的ランドマークの効果について「始まり」と「終わり」の捉え方を区別して検討しました。時間的ランドマークとは、「過去から未来にかけての時間の中で1つの目印になるような日にちやイベント」のことであり、入学式や卒業式、誕生日などが該当します。時間的ランドマークの前と後では自己についての捉え方が変わり、それに伴って新しい経験への動機づけも生じやすいとされています。

実験では、年末(12月29日から31日)を対象とし、年が変わるタイミングについて終わり(年末)と始まり(年始)のどちらを意識するかで、時間的ランドマークの効果が異なるかどうか検討しました。また、ここでは時間的ランドマークを強く意識させる条件(特別な日であることを強調)と、あまり意識させない条件(なんでもない日の1つであることを強調)も考慮し、計4つのパターンで行いました。

18歳以上でネイティブの日本人406名を対象とした研究の結果、時間的ランドマークを強く意識した場合、年が変わるタイミングは「意味のあるもの」とみなされやすく、その前後で自己についての捉え方が変わりやすいことが示唆されました。

一方で、時間的ランドマークを強く意識した場合でも、終わりか始まりにかかわらず、動機づけについては変化がみられませんでした。日本人にとって年末年始は元来特別な期間であるため、時間的ランドマークを意識させない条件でも、実際にはある程度特別な印象が抱かれていた可能性が考えられました。