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2025.03.07

人間心理学科・長峯聖人講師の論文が『Learning & Motivation』に掲載

社会学部人間心理学科の長峯聖人講師(専門分野:社会心理学)が執筆した論文『Which academic motivations predict scheduling styles: Academic goal pursuit situations in Japanese high school students』が、ScienceDirectが発行する『Learning & Motivation』(第90巻)に掲載されます。

本論文では、日本の高校生を対象に、学習動機づけとスケジューリング(スケジュールを立てることに関する方略)との関連を検討しました。スケジューリングには大きく2つのタイプがあり、「時間に基づいてスケジュールを立てる方法」と「進捗に基づいてスケジュールを立てる方法」があるとされています。また、副次的な目的として、スケジューリングと基本的心理欲求の充足との関連も検討しました。基本的心理欲求とは、人間に根本的に備わっている欲求であり、自律性、有能感、関係性への欲求が含まれます。

本論文は2部構成となっており、第1部では横断データを用いた分析、第2部では6か月間にわたる、2時点の短期縦断データを用いた分析が行われました。

分析の結果、仮説通り、自律的な動機づけを持つ生徒は進捗に基づいてスケジュールを立てる方略を選択しやすいことが明らかになりました。また、進捗に基づいてスケジュールを立てる傾向が強い生徒は、自律性および有能感の欲求が充足されやすいことも示されました。

従来の研究では、心理的欲求の充足が自律的な動機づけを促進することが数多く示されてきた一方で、その逆方向の関係性については示唆されつつも分かっていることが少ないという現状でした。本研究により、自律的な動機づけが心理的欲求の充足を促進するというプロセスの一端においてスケジューリングが重要な役割を果たすことが示されました。