2024.11.07
Jヴィレッジの天然芝フィールド
社会学部現代社会学科の野上玲子講師(専門分野:スポーツ社会学、公共哲学、オリンピック研究)が9月15日(日)~9月17日(火)、現代社会専門研修「Jヴィレッジの復興から考えるスポーツの役割」を実施しました。
現代社会学科の学生8名が参加し、福島県内にあるいわきFCパーク・ハワイアンズスタジアムいわき(いわき市)、ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジ(楢葉町)、請戸小学校(浪江町)、東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)、などを訪問しました。
■野上玲子講師のコメント
東日本大震災が起きた当時(2011年3月11日)小学生だった学生が、復興について考えるきっかけとなるよう、スポーツという側面から研修を実施しました。実際に、いわきFCの試合観戦と会場視察、Jヴィレッジでは職員の方による講話及び手入れの行き届いた天然芝のフィールドに触れる体験もしました。また、東日本大震災で甚大な被害に遭った請戸小学校や震災後に建設されたいわきFCパークも見学し、多角的に復興におけるスポーツの役割について学びました。
■参加した学生(現代社会学科2年 田中洸太朗さん)のコメント
震災遺構・浪江町立請戸小学校では、当時のそのままを伝えるという意思を感じ、無機質な痛みで何が3.11の際に起こったのか淡々と教えてくれるものでした。当時の惨劇を思い出してしまうので撤去したいという被災者の方も多いと思いますが、ドキュメンタリーや書籍などの人の手が加えられた媒体から感じるものと、物質から訴えかけられるものはやはり違いがあり、恣意的な感情を全て排除して当時を語る貴重なものであるため、保全活動を行って当時の状況をそのまま残して欲しいと感じました。
いわきFCの試合観戦では、スポーツを通じての社会課題への取り組みも印象的であり、一種の「神聖な場」という観戦者の深層心理を利用して試合後のゴミ拾いや、暴力の根絶に向けた宣言などが行われていました。こうした活動で観戦者が「聖域」から再び日常生活に戻った時に、少し心掛けが変わることが目的であると感じるし、そうした傾向が現出した時、少しずつ社会がスポーツの力によって変わるのだと思います。福島の知らなかった良いところ、知っていたけれどさらに良いと思えたところを肌で感じることができ、とても実りの多い研修になりました。
ハワイアンズスタジアムいわき
Jヴィレッジでの研修の様子
いわきFCパーク
震災遺構・浪江町立請戸小学校