2024.05.21
社会学部人間心理学科・山本隆一郎教授と、上越教育大学大学院学校教育研究科発達支援心理臨床教育学系・原真太郎講師(研究当時:京都橘大学総合心理学部総合心理学科)の研究成果をまとめた論文が、5月20日(月)に、日本睡眠学会の刊行する学術雑誌『Sleep and Biological Rhythms』に掲載されました。
本論文は、4歳から6歳までの未就学児を養育する保護者700名に行った、海外で「子どもにとってよい」とされているベッドタイム・ルーティンと、子どもの睡眠やウェルビーイングに関するweb調査研究の結果を報告したものです。ベッドタイム・ルーティンとは、「養育者と子どもとの相互作用の中で就床前に繰り返し行われる行動」を指します。
分析の結果、よいとされるベッドタイム・ルーティンを広く取り入れていることと、子どもの睡眠やウェルビーイングとの間には関連性は認められませんでした。また、補足的な検討では、養育者が「絵本やお話を読み聞かせること」「電子機器使用を制限しないこと」が子どもの睡眠問題と関連していることが認められました。
日本でのベッドタイム・ルーティンの現状やその機能を検討した研究は非常に少なく、この研究成果は日本の睡眠文化に関する一つの資料を提供したものと考えられます。
■山本教授のコメント
「絵本やお話を読み聞かせること」が睡眠問題と関連することは、素朴に意外な結果ですが、本研究は一時点の調査研究であり、両者の因果関係は不明です。子どもの睡眠に困り感を抱いている養育者が積極的に読み聞かせを取り入れようとしているのかもしれません。また、絵本やお話の「内容」や「費やす時間」といった詳細は本研究では評価されていません。
今後の更なる研究を通じて、子どもがぐっすり眠るために養育者がどのようにしたらよいかを探索していきたいと思います。