年度を選択

2024.05.22

人間心理学科・石橋美香子講師らの共著論文が『Frontiers in psychology』に掲載

社会学部人間心理学科・石橋美香子講師(専門分野:発達心理学)らの共著論文が5月17 日(金)、心理学系の雑誌『Frontiers in psychology』に掲載されました。

本論文は、目標を達成するための粘り強さ(グリット)の世代間伝達を明らかにするために、子どもと養育者の関係に着目し、質問紙調査により検討した内容になります。調査の結果、養育態度を媒介し養育者のグリットが子どものエフォートフルコントロール(注意の維持や持続性にも関連する因子)に寄与することが分かりました。また、養育者のグリットが子どものエフォートフルコントロールに直接的に影響をすることが明らかになりました。

■石橋講師のコメント
「親の背を見て子は育つ」ということわざがあります。しかし、子どもは親のどういった側面を「見て」育っているのでしょうか。私たちのチームでは、1歳頃の子どもの行動の持続性に着目し、他者が粘り強く目標を達成しようとする行動を乳児が観察したときに、異なる文脈においても、乳児自身の注意のコントロールが持続されやすくなる可能性を実験的に明らかにしてきました(Shinya & Ishibashi,2022)。それでは、親の粘り強さは自分の子どもの発達とどのように関連しうるのでしょうか。

本論文の結果は、養育行動を介した関わりに加えて、乳児は親の粘り強い行動を観察することを通して、自身の注意や行動を持続する力を養っている可能性が考えられます。今後は、養育者のどういった関わり方が子どもの持続的行動に関連しうるのかを実験的に検証することも考えています。なお、本研究は、公益財団法人前川財団の研究助成を受けました。ここに記して感謝申し上げます。

石橋美香子 講師