Phase1:心理学の基礎を学び、準備する「基礎ゼミナールA・B」「心理統計法」

「心理学」についての理解+統計学の基礎+調べる・書く・伝えるスキル→心理学を学ぶための基礎力

知識と結びつけて、「科学としての心理学」の魅力に触れましょう。
「基礎ゼミナールA」(1年次前期)や「基礎ゼミナールB」(同後期)では、心理学の学習・研究のベースとなり、大学での幅広い学びにも活用できるスキルを学びます。たとえば、Excel(表計算ソフト)を使って数値データを処理・分析し、グラフなどで視覚的に表現する技術。また図書館やインターネットを利用して文献資料(学術論文など)を検索し、集められた資料を分析的に読み解いて、ものごとをより深く理解するための手法を学びます。さらに実験・調査の成果をまとめるレポート作成を通して、論理的な文章を書く力を高めます。

そして「心理学統計法」(1年次通年)で学ぶのは、実験や調査を適切に行い、その結果を分析・解釈するための“道具”となる知識です。心理学は人間の行動を研究対象としているため、同じ条件で行った実験・検査であっても、対象や周囲の状況によってその結果(データ)が大きく異なる場合が少なくありません。しかし統計学の知識を用いれば、そうした「ばらつきのあるデータ」を分析し、その結果をもとに考察を深めることもできるようになります。データを正しく扱い、その結果が持つ意味を客観的・合理的に捉えることが研究の第一歩。統計学は心理学を学ぶ上で欠かせない知識であり、ものごとを合理的に考える際の強力な武器になります。

Phase2:“科学的アプローチ” を身につける「心理学実験I・II」

「心理学」を学ぶための基礎力+実験・検査法+結果分析・レポート作成スキル→科学的アプローチ

心理学にはさまざまな分野があり、研究の対象や分析方法ごとに適した実験・検査法が採られています。その基本を学ぶのが、2年次の学習の中心となる「心理学実験I・II」(2年次通年)です。実験・検査を正しく実施し、科学的で信頼性の高いデータを採取するための知識と技術を修得します。

「心理学実験」で扱うのは、学習心理学・発達心理学・精神物理学・認知心理学・社会心理学・生理心理学・臨床心理学の各分野で用いられる実験・検査方法です。それぞれの分野に関する基礎的な知識と実験・検査法を学び、得られたデータの統計処理と実験レポートの作成を通して、3年次以降のより専門的な学習と研究に向けた“トレーニング”を重ねます。

こうして実験・検査のための知識を身につけ、毎回の結果をレポートとしてまとめていく「科学としての心理学」は、決して楽なものではありません。しかし、そうして学ぶからこそ出会える発見や驚き、そして達成感は、大学での学びのおもしろさを実感させてくれるはずです。 授業中は少人数のグループに分かれ、専門的な心理学研究でも採用されている装置や器具を使って実験を行います。教科書に書かれた文字や講義での説明だけでなく、自分自身の具体的な経験から学べる実習を通して、心理学の各分野についての理解を深めるとともに、心理学の研究に必要なスキルを身につけていきます。

Phase3:自らのテーマを見つけ、研究する「専門ゼミナールI」「専門ゼミナールII」

科学的アプローチ+各分野の専門的知識+テーマの発見と研究→科学的・実証的な学術論文

4年ゼミの論文発表会には3年ゼミ生も参加(中村ゼミ:社会心理学)

脳波測定実習(浅岡ゼミ:睡眠心理学)

大学の先生は、それぞれの研究テーマを持った研究者でもあります。「専門ゼミナールI」(3年次通年)では、先生の専門分野について基礎的な知識を身につけるとともに、自分の研究テーマを探します。 まず、ゼミで扱われる分野についてテキスト(資料)を読み、発表とディスカッションを重ねて理解を深めます。また「心理学実験I・II」で学んだ基礎をもとに、専門的な研究に必要な調査・実験方法も学びます。その上で、4年次の卒業研究に向けた研究テーマを検討します。興味・関心を持ったテーマに関する先行研究(他の研究者が取り組んだ、同様テーマの研究)の資料、論文などを収集し、文献の読み方やまとめ方、発表の技術を身につけます。そして「専門ゼミナールII」(4年次通年)では、自分自身の研究テーマに基づいて卒業研究と論文の執筆に取り組みます。研究の起点となる論文講読や先行研究の分析、あるいは実験によるデータ収集・解析、そして論文執筆は、講義時間だけでなく、自分自身の研究として取り組むことが必要です。教員からの指導内容も、より専門的で高い研究スキルが要求されるものになっていきます。

研究論文を完成させるには、多くの時間と努力が必要です。しかしその過程においては知的な興奮と感動を、そして最後には格別な達成感を得ることができるでしょう。ここに結実する4年間の学びと成長は、かけがえのないものになるはずです。