福田さんは社会学部現代社会学科で環境学を中心に学びました。環境学は私たちを取り囲む自然と人間を中心とする学問で、机上の勉学だけでなく、現場に足を運ぶフィールドワークがかかせません。福田さんは在学中に国内外にわたる様々なフィールドワークやインターンシップを経験し、執筆した卒業論文は最優秀論文と評価されました。このスチューデントボイスは、卒業式の答辞として福田さんが在学生に向けて書き上げたものです。
父から教わった言葉です。
人生はいつも何かしらの選択をして前に進んでいきます。選んだ道をいい方向にするか、後悔するかは全て選択した後の自分次第ということと理解しています。
私はこの言葉を聞いた日から、今日まで一度も後悔をしたことがありません。
入学当時、何の目標もなかった私はただ与えられた授業をこなし、自分の出来る範囲のことしかやっていませんでした。しかし、2年生になり、入った研究室で自分を180度変えてくれる親泊先生と出会いました。
先生は、国内外に渡る様々なフィールドボランティアやインターンシップなど、私を変えてくれる多くの機会を与えてくれました。そのどれもが私を成長させる糧となり、何かを成し遂げるたびに自信となっていきました。
私が4年間勉強した環境学は、私たちを取り囲んでいる自然と人間を中心とする学問です。いくら机に向かって勉強しても、現場に足を運んでみなければわからないことがたくさんあり、数々のフィールドワークは自ら体感することの大切さを教えてくれました。
夏休みに行った日光国立公園でのインターンシップは2週間携帯などの電子機器を一切使うことができない生活を送り、トイレ掃除、ゴミ拾い、鹿パトロール、オオハンゴンソウの外来種の除去など、はじめて大自然を管理する立場になって、観光客の身勝手さ、自然の懐(ふところ)の大きさを実感することができました。
また1年目に出展者として携わった千葉県のグローバルフェスタでは、2年目以降、県庁の職員、JICA、ユニセフ、他大学の人たちとタッグを組んで主催者として企画、運営、広報にも携わり、ゼミの仲間たちと作成したポスターに、江戸川大学の名前を見たときには、とても誇らしく思いました。
それから約1年後、再度論文の調査でオーストラリアを訪れ、英語を勉強し続けたという自信を胸に政府機関にインタビューを行いました。インタビューが終わった後ホッとした気持ちと、その後に込み上げてきた達成感と喜びは言葉では言い表すことができません。この時に、私は卒業後にオーストラリアの大学院を目ざす目標が見えてきたのです。
そして、最初のインターンシップを行った日光国立公園で、大学生活最後の年を過ごしました。山奥で9ヶ月間、トイレ掃除やゴミ拾い、山のパトロールの仕事をしながら生活をするというのは体力的にもかなり辛いものでした。仕事をしながら卒業論文を書いていたあの時間は、今でも忘れることはできません。今振り返ると、自分の実力にそぐわない挑戦もしてきたように思います。しかし、辛くても乗り越えることができたのは、自分に負けたくないという気持ちと先生や家族の期待にどうしても応えたいという気持ちからでした。そうして私は自分自身の手で、最優秀論文賞を取ることができたのです。
努力が必ず報われるかどうかは、私にも分りません。しかし、この大学の4年間で私が確実に証明できることは「人は変わることができる」ということです。
この大学生活を通して、国も年齢も性別も違う、様々な人たちと出会えました。それぞれの人生経験や考え方が私にどんな影響を及ぼすかは、すぐに答えが出るわけではありませんが、出会う人たちに対して誠実に向き合えば、相手から与えられる全てが自分にとってプラスになるということに気付きました。
人は人を大きく成長させることができます。それを身をもって実感できたこの大学生活は、私にとっては生涯忘れることのできない、人生のもっとも中味の濃い時間となりました。常日頃、周囲の人たちに感謝し、志をもって生きる大切さを学んだ4年間でした。
「山は登った分だけ景色が素晴らしい」この言葉を胸に、これからも一歩一歩自分の足で歩んでいきたいと思います。
社会学部 ライフデザイン学科(現・現代社会学科)2013年3月卒業
F.A.さん
(2012年度在学時取材)