年度を選択

2024.07.26

睡眠研究所スタッフの共著論文が『Sleep and Biological Rhythms』に掲載

睡眠研究所スタッフの社会学部人間心理学科・浅岡章一教授(専門分野:実験心理学・睡眠学)、西村律子准教授(専門分野:実験心理学)、野添健太講師(専門分野:臨床心理学・認知心理学・睡眠学)、山本隆一郎教授(専門分野:臨床心理学・睡眠学)ら4名による共同研究の成果をまとめた論文が、7月24日(水)に日本睡眠学会の刊行する学術雑誌『Sleep and Biological Rhythms』に掲載されました。

この論文では、366名の日勤労働者を対象に行われたオンライン上での自記式睡眠調査と選択的注意機能測定の結果を基に、睡眠問題(質の低下、睡眠不足、夜型の生体リズム、過度な眠気)と認知機能との関連が参加者の年齢層によって異なるかを検討しました。

分析の結果、40歳代の労働者では睡眠問題は認知機能と関連を示しませんでしたが、20歳代では睡眠不足を抱えている人ほど、60歳代では睡眠の質が低い人ほど選択的注意機能が高い傾向が確認されました。これらの結果は、「睡眠問題が認知機能を低下させる」という一般的に考えられている知見とは異なるもので、睡眠問題や認知機能の「個人差」に着目した場合には、必ずしも睡眠問題と認知機能との関連は一様ではないことを示すものと言えます。今後の研究では、このメカニズムの解明が求められます。

なお、本研究は、2021年および2022年度学内研究助成金の補助を受けて行われました。

■浅岡教授のコメント
本学には複数の実験用防音室があり厳密な統制環境下で認知機能を測定することもできますが、それと同時にGoogle Chrome等のインターネットブラウザを通じて参加者自身のPCから認知課題を実施できる環境も整備されています。今回の研究では後者のシステムを利用して、幅広い参加者の認知機能を客観的に測定しました。研究目的に合わせた適切な手法を選択しながら、今後も睡眠問題と認知機能との関連を検討していきたいと思っています。