2024.02.27
社会学部現代社会学科の佐藤秀樹講師による司会で進行
江戸川大学では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のさくら招へいプログラムに採択され、2024年2月14日(水)から2月23日(金)までの10日間、南京大学の学部生2名と大学院生6名、教員2名を招へいし、社会学部現代社会学科の川瀬由高講師(専門分野:文化人類学・中国研究)の引率でフィールドワーク実習を行いました。2月22日(木)には、江戸川大学にて調査成果報告会を開催しました。
南京大学の学生たちは、流山市および京都市の2地点での調査成果をもとに、人間と森林との関わりや移住・移動と暮らしについて、そして中国の視点からみた日本の社会文化の特徴について、力のこもった発表を行いました。現代社会学科の中島慶二教授(専門分野:環境政策・環境社会システム)、土屋薫教授(専門分野:観光創造)からのコメントや質疑応答を通して、里山という思想の位置づけと今後の課題について議論を深めることができました。
■南京大学・楊徳睿先生のコメント
まず、江戸川大学の関係各位に、そしてとりわけ川瀬由高先生の細やかな手配と、JSTの寛大なご支援に、深く感謝申しあげます。今回のスタディ・ツアーは、われわれ南京大学の人類学と社会学の学生にとっても初めての経験でしたが、創造的な構想に満ちたプログラム設計およびその実施という双方の点で、ほぼ完璧なものであったと言っても過言ではありません。
今回の旅程で最も驚嘆したのは、このような短い期間のなかで、われわれに、日本の社会文化におけるより永続的かつ根源的な側面に触れる機会を与えてくれたことです。ここで言う「触れる」とは、象徴的・抽象的な比喩などではなく、日本の風土、気候、産物に対し、自らの身体を通してじかに接触することができたということであり、またそれにより、様々な感覚的体験を各人が自ら得ることができたということです。
楊德睿 先生
私は常々、人類学的フィールドワークとは、言葉や言語といったシンボルの相互作用によって相手についての情報を得るということではなく、人間の身体の全体を情報の受信機として用い、また人体のすべての感覚器官を開放して、異文化を感じとることであると考えてきました。今回、川瀬先生ならびに立命館大学の阿部朋恒先生が細やかに心を砕いて考案してくれたスタディ・ツアーは、私がフィールドワークに対して持っている上記のような理念を見事に体現したものであったと言えるものでした。今回の経験は、プログラムに参加した南京大学の学生全員に深い印象を与えたと思いますし、今後、かれらが人類学や社会学の研究を続けていく上でも、長く有益な影響を与えてくれるものと信じています。
■南京大学・邱月先生のコメント
江戸川大学を通してこのJSTプログラムに参加できたことを非常に嬉しく思います。江戸川大学およびプログラムの代表者の川瀬由高先生の緻密な準備と、阿部朋恒先生のご助力のおかげで、我々の予想を大きく超えた素晴らしいプログラムを体験することができました。私たちは、千葉と京都という異なる生活環境下において、人と森とがどのように関わりあいを持っているのか、また、若い新移民が地方に移り住み、いかに地域創生に携わっているのかを知ることができました。
邱月 先生
本プログラムを通して、学生たちの調査研究面でのトレーニングができましたし、さらに、日本で活躍する多くの優秀な研究者と知己を得ることができ、日中間での学術的連携をより緊密なものにすることもできました。改めて、本当にありがとうございました! 今後もこのような機会がさらに増加し、相互協力が長く続いていくことを願っております。
■川瀬由高講師コメント
本プログラムの共同実施者である阿部朋恒准教授(立命館大学大学院先端総合学術研究科)、李婧さん(東京都立大学大学院)、呉松旆さん(関西学院大学大学院)のお陰で、生きた文化にじかに触れる、文化人類学ならではのフィールドワーク・プログラムを実現することができました。また、人口の増加/減少という点では一見すると対極的な調査地でしたが、両地域には意外な共通点も存在していることを、学生の研究成果発表から教わりました。改めて、本プログラムにご協力くださった全ての方々に心から感謝申し上げます。
川瀬由高 講師
阎乔悦さん
邓莹さん
吴紫凌さん
江蕙嫔さん
展梓容さん
吕涵潇さん
李博超さん
张明宇さん
<参考リンク>