眠りの種類
図1 睡眠を記録する方法(脳波、筋電図、眼球運動の記録電極の位置Rechtschaffen, A. & Kales, A. A manual of standardized terminology, techniques and scoring system for sleep stages of human subjects. 1968, U.S.Department of Health, Education, and
Welfare Public Health Service, National Institute of Neurological
Diseases and Blindness Neurological Information Network
Bethesda, Maryland より引用)
図2 それぞれの睡眠段階での脳波像(Rechtschaffen, A. &
Kales, A. A manual of standardized terminology, techniques and
scoring system for sleep stages of human subjects. 1968, U.S.
Department of Health, Education, and Welfare Public Health
Service, National Institute of Neurological Diseases and Blindness
Neurological Information Network Bethesda, Maryland より引用)
図1は、睡眠を研究する際に必要な電極などの配置を示しています。上から、左の眼球運動、右の眼球運動、アゴ(オトガイ筋)の筋電図、中心部(C3あるいはC4)の脳波を示しています。
眠りには、いくつかの「段階」が認められます。図2に示したのは、上から「段階W(覚醒)」、「睡眠段階1」、「睡眠段階2」、「睡眠段階3」、「睡眠段階4」と呼ばれる段階の脳波像をならべたものです。一番上の脳波は、覚醒している状態を表しますが、覚醒状態とは言っても眼を閉じて安静にしている状態の脳波です。眼を閉じていて安静にしているとアルファ波と呼ばれる8-13Hzの周波数の脳波が後頭部を中心に出現します。眠くなってくると、このアルファ波が徐々に消失していきます。20秒間もしくは30秒間の記録区間のうちの50%以上をアルファ波が占めているうちは覚醒と判断されますが、50%を切ると睡眠段階1と判断されます。睡眠段階1は、もう少し周波数の低い4-7Hzのシータ波が中心となる脳波像を示し、図2の睡眠段階1の脳波には、睡眠段階1に特有な瘤波(hump wave、頭頂部鋭波vertex sharp wave)と呼ばれる脳波が良く出ています。脳波像は覚醒時と全く異なりますし、行動上も瞼を閉じて、姿勢を維持できずにいるため、明らかな睡眠状態なのですが、この状態の人の約半数は自分が眠っている事に気がつかず、起こされた後も自分自身は起きていたと主張する事があります。このように自分自身の眠気や浅い眠りの状態を自覚する事は意外に難しいのです。