2024.11.21
社会学部人間心理学科の石橋美香子講師(専門分野:発達心理学)が、公益財団法人カシオ科学振興財団より研究助成(受賞タイトル「保育士の専門性開発~保育士と園児の視線行動の分析と分析結果に基づいた研修プログラムの実施~」)を受けました。なお、受賞式は12月6日(金)に行われます。
■石橋講師のコメント
本受賞内容は、保育士と園児それぞれの視線行動を視線計測装置ならびにAIによる自動解析技術に基づき可視化し、それらのデータを用いた研修プログラムを保育士に実施し、保育士の専門性開発に資する研究成果の発信を目指すものです。本研究は、東京大学発達保育実践政策学センター高橋翠助教、Sony CSL大和田茂研究員との共同研究です。
日本においては、「こどもの誕生前から幼児期まで」の子どもが育つ環境の質が非常に重要であるとされ、なかでも保育士の高い専門性は保育の質の中核を成す重要な要素です。日々の保育において、保育士は個々の園児の状態やクラス内の様子を読み取った上で、状況に応じて柔軟な対処が求められます。そのためには、経験に裏打ちされた実践知が不可欠です。保育士の熟達過程に関する研究では、私たちは、保育士の経験年数が高まるほど複数の観点から子どもの状態を把握しているような視線情報処理を行っていることを明らかにしてきました(石橋他、2020)。しかしながら、保育士の熟達過程についての実証研究は十分ではありません。本研究では、保育士や園児の視線を実測データ並びにAIによる自動推定により可視化し、園児と保育士の視線の特徴や、視線が共起するタイミングを分析します。また、研修を通して保育士が園児に対する最適な介入につながるきっかけになることを期待しています。
本研究から、初任者を対象とした研修プログラム開発や、経験・熟練者同士が自身らの実践知を相互に学習し、更に専門性を高めるための教材・素材の提供につながるような成果の発信に努めてまいります。引き続き、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
※江戸川大学石橋研究室では、学術調査に参加いただける1歳から3歳未満のお子様とその保護者を募集しています。
<参考リンク>
石橋美香子 講師