海外研修
異文化理解研修(ニュージーランド)

体験レポート

異文化理解の方法

メディアコミュニケーション学部情報文化学科 M.A.さん

今回の研修を通して私が感じたのは、知識を身に付けることと実際に体験することの大きな差だ。大学入学後、異文化理解研修という名の元で今まで学習していたため、日本とは違う文化や生活があるのは十分理解しているつもりだった。しかし、実際のニュージーランドでの暮らしは私の想像よりもはるかに不慣れと苦労 と隣り合わせの生活だった。ニュージーランドの町の人々の会話や親族との関わり方は、普段から内向的な私にとって大きな衝撃を与えるものだったのだ。自分の英語力を一番に懸念していた私だが、それ以前に社交性やコミュニケーションスキルのほうがこの場に必要とされているのだと知り、焦りを感じた。英語のスピーキングスキルの向上は、積極的に相手に質問したり声をかけたりすることから始まるのだ。私は国内外にかかわらず社会に出て働く人間になるとき、この能力は必要不可欠な要素だと感じている。異文化を学ぶということは、日本の大学の教室で学んでいるだけでは十分に学習が足りないと思う。知識だけで異文化を理解しようとしても、それは本当の異文化理解とは程遠い浅い経験にしかならないのだ。異文化理解とは、自分自身が今ある“当たり前”から離れ、誰も知らない新しい自分になって体験することに意味があるのではないかと感じた。

そこで、今回私が実際に体験して興味深いと感じたことを紹介しようと思う。それは、食文化だ。食文化の違いは、私たちの通うマッセイ大学へ持参する友人たちのお弁当から感じることが多かった。ニュージーランドはたくさんの国から人々が移住している国のため、南アフリカ、フィリピン、中国、ヨーロッパなど、私たちのホームステイファミリーの出身は本当に多種多様だった。そのため、国によって持たせてくれるお弁当のバリエーションがかなり異なっており、大変興味深いと感じた。私のホストファミリーは南アフリカ出身で、すでに仕事をリタイアした優しい夫婦だった。ファミリーの食卓に並ぶ食事はいつも少しスパイシーな味付けで、肉や炭水化物がメインなことが多かった。量も十分すぎるほどで、これは同じ南アフリカ出身のホストファミリーをもつ友人と共通して いた。私たちはいつも昨晩の夕食の残りをお弁当に持っていっていたが、他の学生は全員がそうというわけではなかった。ジャムサンドやマフィンのような洋菓子やスナック菓子、ファミリーが朝手作りしたバーガーなど、出身国によって食文化が異なるのは私にとって大きな発見になった。

今回の研修は、自分が今までどれだけ限られた情報の中で暮らしていたかということに気づかせてくれる大変貴重な体験になった。この世界で“当たり前”を定義することの無意味さ、それぞれに大切な意味があり、それゆえに発展していった文化であることを私は学ぶことができた。私はこの異文化理解研修に参加して心から良かったと感じた。