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研究レポート
私学事業団学術研究振興基金交付研究のご紹介
「大学生のドロップアウト防止のための介入方法の確立
-心理学・睡眠学・教育学からの総合的検討-」
睡眠研究所長
社会学部人間心理学科
博士(医学)
「大学生のドロップアウト防止のための介入方法の確立 -心理学・睡眠学・教育学からの総合的検討―」という研究テーマで、平成27年度、平成28年度、平成29年度の3ヵ年間連続して、日本私立学校振興・共済事業団より学術振興資金事業に採択され、研究資金を交付され、研究を実施する事が出来ました。
この一連の研究を採択していただく前に、平成25年度に「大学生のドロップアウト防止 -教育学・心理学・睡眠学からの総合的検討-」というテーマで、宮崎孝治先生を研究代表者として1年間採択されましたが、この研究は、その更に延長上にある研究で、つまり、ほぼ同様の研究グループで、計4ヵ年の交付を受けている研究プロジェクトとなります。
研究プロジェクトのメンバーは人間心理学科を中心にしていますが、学際的なグループで、浅岡章一先生、宮崎孝治先生、Timothy M. Kelly先生、中村真先生、室城隆之先生、山本隆一郎先生に参加していただいています。
大学生のドロップアウトについては、どの大学でも同様の悩みを抱えていて、社会的にも注目される研究テーマだと思いますが、今回のプロジェクトのひとつの注目点は、大学生のドロップアウトの要因の一つとして、これまで注目されてきた「学力」や「入学時の志望動機」の問題等に加えて、生活習慣の乱れにつながる生体リズムの問題を取り上げた事だと思います。
もちろん、学力や動機付けの問題で大学を退学していく学生もおりますが、学力については、大きな問題がないのに、遅刻や欠席が続き、成績や単位取得数が結果として低下し、大学を辞めて行く学生の数も多いという印象は、他の先生方も共有しておられるのではないかと思います。
今回の研究では、入学時の学力よりも、1年次の生活習慣に関わる「変数」(具体的には、睡眠時間の短さや、徹夜が多いことや、寝る時刻が日によって違う事など)が、その学生が将来、大学からドロップアウトするかどうかにより強く影響しているという事が明らかとなっています。つまり、1、2年生のときに、生活指導を行なう事でドロップアウトを減らせる可能性があるという事です。
この研究は、本学の退学者対策のワーキンググループでの検討や、本学が独自のコンピュータによる出席管理システムを持っていることなどが、追い風となって進める事が出来ました。本学の学生指導の「本気度」や、本学の情報化が学生の生活指導に役に立つことを示す実例として、この研究は、大学全体として誇れる実践的研究でもあると思っています。