研究所・センター
基礎・教養教育センター
江戸川大学の基礎・教養教育は、社会の一員としての責任と義務を自覚して生きることのできる力の獲得を目的として設定しています。
1.基礎・教養教育カリキュラムの基本的な考え方
(1)基礎学力の育成を図る科目の設定入学者の多様化に伴い、大学での学習に様々な工夫が必要になっている現状がある。特に、初年時教育については他大学においても様々な試みがなされているところである。本学においても、入学した初期の段階において多様な学生に対応する方策を全学レベルで検討する必要があると考え、科目の充実を図っている。
また、基礎学力の育成は専門教育を支えることであり、また、就職にも大きく影響することからカリキュラム内において新たな方策を図っている。具体的には、全ての勉学の基本である国語(日本語)能力の育成が喫緊の課題であり、その充実を図っている。
(2)学問の基礎・基本を学ぶ機会の確保
一般教育と専門教育との接続及び補完機能を考慮すると、専門教育では実施できない基礎的な学習事項(リテラシー獲得の為の科目)を学ぶ機会を確保し、大学生として必要な専門外学問分野(基礎学問・文化理解等)については、その基礎・基本を徹底する形で幅広い識見を獲得する機会を確保する必要があると考え、その充実を図っている。
以上から、基礎・教養教育では、カリキュラムを3つの領域(基幹科目群、人間力向上科目、就職・資格科目)から編成し、専門分野の枠を超えて共通に求められる知識や思考法等の知的な技法の獲得、人間としての在り方や生き方に関する深い洞察、現実を正しく理解する力の涵養、に努めることを目標としている。
(3)地域との連携を図る科目の設定
「人間陶冶」という本学の教育理念の具現化として、「人間らしい優しさをもって活動できる」人材の育成がある。その具体的な活動の場を基礎・教養教育においても設定し、教育理念の実現を図る科目を導入している。具体的には、本学が位置する流山市等での地域連携活動を学生自ら関わる形で展開できる科目を設定している。
(4)人間・文化を中心とする科目の設定
歴史観、人間観、社会観、文学観、自然と人間の関係など、知識レベルから一歩踏み込んだ価値観の形成、および行動力の形成に役立て「広い意味の教養」の獲得を図っている。その為に、担当する個々の教員に任せるのではなく担当者間の連携・協力体制を構築した上で教育内容を十分に検討する組織及び機会を導入している。同時に授業方法として少人数・双方向の授業を導入している。
2.基礎・教養教育カリキュラムの内容
(1)基幹科目群
1)アカデミック・スキル演習I・II
本科目の意義は、高等教育のユニバーサル化に伴う学生の学習目的や学力・意欲などの急速な多様化に大学全体として対応することができることにある。高校教育から大学教育への円滑な移行を図るために、アカデミック・スキルの獲得が目的となる。
1,2年時全学必修科目として、達成項目をルーブリックとして細分化・見える化し、全学の学力の確実な底上げをはかる。また未達成項目がひとつでもあると単位が付与されないシステムになっており、授業外補習で徹底した指導がなされている。
2)語学・情報系
本群の特色は、可能な限り少人数によるリテラシーの確実な獲得を目指す点にある。
学生の英語力を考慮し、ひとクラスあたりの受講者を少数にとどめて個々の学生への指導を手厚くすることで、学習意欲の向上と学習環境の改善を図っている。
海外留学も視野に入れた英語力の重点的な強化を望む学生向けにグローバル・スタディ・プログラムを設置している。留学準備用の特別科目を含む指定科目群を履修し、2年次終了時点で一定の要件を満たしたうえで面接等による選考を通過した参加学生は、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドにある提携大学のいずれかに8ヶ月間にわたって留学することができ、その際の授業料・寮費・往復航空運賃は江戸川大学が負担する。
留学生の大学生活および卒業後の社会生活で必要な日本語能力を身につけることを目的としている。カリキュラムは、実際の日本語使用場面に即した学習を通して、日本語の知識獲得をすることを図って設計されている。
授業内容について基礎導入科目での実践を考慮し、科目間連携や習熟度別の授業実施をカリキュラム運営上考慮している。
3)基礎学問・現代日本理解系
主に講義科目として幅広い多くの知識の獲得を目的としている。
基礎学問系の科目は社会・文化の理解を図るための諸学問の基礎的知識・技法を知ることを目的に設定している。文系の学部・学科であるため学生の多くは自然科学に苦手意識を持っている。そこで、科目数は多くないが、自然科学に親しむ意図を持って関連科目も設定している。
現代日本理解系の科目は我々が生きる日本について学問を背景に理解することを目的として設定している。また、日本の理解は他国の理解の基本となることから、国際化への対応も目的にしている。
4)社会調査系
調査技法・データ分析技法の獲得が両学部にとって学問の方法上有意義であると考え設定している。加えて、社会調査士資格とも関連を持たせ、社会での活用も視野に入れている。
5)多文化理解系
国際化への対応を積極的に進める上で有効な科目を設定している。単に、机上の知識だけでなく実際に体験する科目も設定している。
(2)人間力向上科目群
本科目群の特色は少人数・双方向の授業を実施すること、及び価値観・行動力の育成を目指す点にある。
1)健康・スポーツ系
運動についての理解と運動の合理的な実践を通して、生涯にわたって計画的に運動に親しむ資質を一層育てるとともに、健康の保持増進のための実践力の育成を図ることができることを意義として設定している。
2)地域連携系
学問と地域の社会生活との関わりについて体験を通して学ぶことにより、知識レベルから一歩踏み込んだ「広い意味の教養」の獲得を目的としている。具体的には、公共の精神を育成するとともに、自己の就職を含めた人生設計に役立たせることを目指し、地域における公共的活動(市との協力事業、学校ボランティア、NPO法人主催の活動、等)に関するボランティア活動に参加を促す科目を設定している。
3)文学・歴史・人間学系
少人数・双方向の授業を実施し、2年、3年を対象とし、通期、選択のゼミナールとしている。本科目と講義を両方履修すれば、学科の専門の他に準専門を持つことになり、本来のリベラルアーツ教育に近い形が実現できる。例えば、人間学系の伝統文化関連科目では、座学だけではなく実技を伴う科目として幅広い教養を担うことを意図して設定した。日本人はもとより留学生にとっても日本文化を体験する機会に利用することもできる。
(3)就職・資格科目群
専門の思想と理念を実践の場に移しうるコミュニケーション能力として、大学生としてまた社会人としての日本語の運用能力の獲得を目指し、国語表現Ⅰ・国語表現Ⅱを設定している。学生の国語運用能力の低下への対応及び留学生の上級日本語能力の獲得を目指し、以下の目的を設定した。
具体的には、日本漢字能力検定2級レベル、日本語文書能力検定2級レベル、日本語能力検定1級レベルを想定している。
国家資格(教職、学芸員)については、カリキュラム運営上、意欲ある学生に学習機会の保障をするべき努力を続けている。