研究所・センター
こどもコミュニケーション研究所
こどもコミュニケーション研究所主催のフォーラムが 6 月 10 日に行われ、「幸せな未来は幸せな子どもたちから」と題した、リヒテルズ直子さんによる講演会が行われました。高校生から 70 代までの幅広い年齢層の方々約 100 名が参加しました。
リヒテルズさんは「子どもを幸せにするには、まず大人が幸せにならなければなりません。そのためには働き方を見直すことが大切です」と訴え、オランダでの働き方改革や教育改革について詳しく紹介しました。オランダでは 1980 年代の初めから働き方について議論した結果、労働者同士で雇用を分け合うワークシェアリングが進み、正規雇用者もパート雇用者も同じ待遇で働けるようになりました。両親のどちらかが家にいる日が多く、親が落ち着いて子どもと関われるため、子育てにも大きな好影響が出ています。
また、オランダでは 1970 年代から、政府が率先して画一教育の弊害を見直しし、読み書きや算数などの教科だけでなく「協力する」「創造する」「自分の頭で考える」といった能力を育てることを重視し、「イエナプラン教育」や「シチズンシップ教育」が導入されています。2007 年・ 2013 年発表の先進21カ国の子どもを対象にしたユニセフの調査によると、オランダは子どもが自分で自分を幸せと思う「主観的な豊かさ」は 1 位で、総合的に子どもたちの幸せ度は 1 位でした。オランダでは各学校に個性と責任を持たせ、多様な学校運営を任せながら「個別発達支援」や「インクルーシブ教育」が進み、教えるから学びあう教育へと転換してきました。リヒテルズさんの「選択する自由があってこそ、責任が生まれる」という言葉に大きくうなずく参加者の姿が多く見られました。
リヒテルズ直子さん
こどもコミュニケーション研究所長 浅川陽子教授
参加者からはオランダを参考に、日本の教育を見直していきたいという声が多く寄せられました。
「子どもたちに教えるのではなく、問いかけていき、子ども自身が自分の考えを導き出せるような環境を作っていくことが大切だということがわかりました。今の日本の教育は、同じ学年の集団で、同じ教材を使って、教師が一方的に子どもたちに教えるというのが主流ですが、これでは子ども一人ひとりの能力を引き出すことが難しいと思います。子ども同士で話し合いの機会をもっと与え、子どもたちが主体となるような教育の形に変わっていくといいなと思いました」
「教科別をやめてテーマで授業を行い、幼い時からグループで考え、話し合いをし、考える能力やコミュニケーションを高めたり、4 歳からは『性』や『哲学』を学んで、差別感をなくしたりなど、自分で考える、学ぶ、発表や話し合いで将来役に立つような授業をしていると思いました」
「日本は『これはこうだ!』などの考えが定着しているので、もう少し自由にさせて、差別の話など、子どもが積極的に自発的に学びたいと思うような授業をしてほしいと思いました」
なお、同フォーラムは、『世界日報』(平成 29 年 6 月 20 日付)や『私塾界』( 8 月号)でも取り上げられ、オランダの教育に対する関心の高さがうかがえました。
大学生をはじめ、多くの市民の方が来場されました